ウチのチームにもピカピカの小学1年生がたくさん?ではありませんが数人入ってくれました。お兄ちゃんやお姉ちゃんがサッカーをしてるという弟、妹もいます。
サッカーは次男、三男が大成するという噂やデータもあるくらいなので、大歓迎ですね。カズも次男、遠藤保仁は三男です。兄に負けたくない!という気持ちや小さな頃に兄たちのプレーを見て真似していて上達したという経緯もあります。
海外ではストリートサッカーでよい選手が生まれると言いますが、それは年上のプレーを見て真似しているうちに技術が身につくという効果が大きいようです。
ピカピカの1年生の話に戻しますが、1年生だけを集めてインサイドキック、トラップの練習をしているチームを見かけることがあります。
本当にその練習でいいのか?1年生や2年生。小学生でサッカーを「初めて」はじめる子はどんな練習をすればいいのか。
僕の経験やコーチ仲間との話から気づいたことを書いていきます。
インサイドキックは基本だけど小学1年生には難しい
よくある指導風景ですが、コーチが子供の足首を掴んで
- 「軸足のつま先は蹴る方法に向けて」
- 「蹴り足は、軸足と90度の直角になるように横に向けて」
- 「インサイドの形を固定してボールを蹴る」
という練習方法を見ることがあります。
僕もコーチとして駆け出しの頃は、こうした練習をした事がありました。
しかし、これをやってもインサイドキックは身につかないのです。
インサイドキックは基本だから教えなければならない?
インサイドキックはサッカーの基本と言いますね。正確に蹴ることが出来るので、パスをするときには「インサイドキックで正確に!」というコーチの叫び声を聞くことも多いです。
でも、このインサイドキックって人間のカラダの作りからすると極めて不自然なんです。足を前方に振る時に、つま先を横に向けるってどんだけ無理な動きなのか、やってみるとわかります。
トゥキックではダメなのか?
自然な動きは、つま先を前に向けた「トゥキック」です。つま先キックですね。
トゥキックはフットサルではよく用いられますが、サッカーの基本技術としては優先度が低いですね。
ボールに接する面積が小さいのと、ボールが遠くに飛ばない。足の指を痛めることがある。ネガティブ要素がたくさんです。
しかし、子供たちは「靴」を履いてサッカーをするので、サッカー経験の無い子供がボールを蹴る時は当たり前にトゥキックを使います。靴を履いているから痛くないですから。
インサイドキックは大人も難しい
インサイドキックは小学1年生には難しいと書きましたが、大人も難しいですよ。
僕は、保護者の父兄チーム(父兄と言ってもお母さんもいる)にサッカーの手ほどきをすることがありますが、インサイドキックの練習が一番大変ですね。
無理な足首の角度を続けた結果、「コーチ、股関節が痛いです」と訴えるお母さんもいます。
難しいと言われるインサイドキックですが、インサイドキックが出来ないとサッカーの試合が出来ないわけではないのでまずはサッカーを楽しむことが大事ですね。
時間をかければ出来るようになりますが、出来なければサッカーが成り立たないわけではないので念のため。
日本人のインサイドキックはキツイ
ボールに対して真っ直ぐに近づき、軸足は真正面、蹴り足は真横というフォームのインサイドキックは、実は日本だけ?らしいですね。
ドラガン・ストイコビッチという僕の好きな選手がいますが、彼のプレーを見ているとインサイドキックを使うシーンはありますが、どうもインサイドキックのようなインフロントキックような微妙なキックであることに気づきました。
海外でのインサイドキックは、助走の時の角度が違います。右足で蹴るならば、やや左斜めから助走して、足のインサイド面をボールに当てるのです。
股関節、膝関節を外に開く角度が和らぐために関節の負担はありません。ただし、足首の固定は必要です。
ボールは硬いものに当たれば飛ぶ、柔らかいものに当たれば衝撃が和らぐという特徴があります。
小学1年生にインサイドキックを教えるならば、足首のインサイドという広い場所をボールに当てるとボールが狙ったところに飛びやすいよ!という意味合いでどうかと思います。
小学1年生のサッカーでは何を教えればいいのか?
インサイドキックのフォームを教えることが無理ならば、小学1年生には何を教えればいいのか?
まだ筋力、体力がない小学1年生の場合は、ずばり「ドリブル」でボールを運ぶということが、いろいろなサッカーの動きを覚えることが出来るのでオススメです。
小学1年生で産まれて始めてボールを蹴る子はほとんどいないでしょう。保育園や幼稚園など未就学時代にはボールを蹴っているはずです。
子供にサッカーをさせようという両親の元に産まれて、おそらくヨチヨチ歩きを始めたころにはビニール製のボールを与えて、キックする様子を見て
「将来はJリーガーか!」「いやバルサだ」「レアルだ」「W杯だ!」
なんて喜んでいたはずです。その時のキックはもちろんトゥキックだったのですが忘れているでしょうね。
遠くに蹴れないけどドリブルで運ぶことは出来るものです。
ドリブル練習の意外な効果!
ドリブルには2つの種類があります。
ひとつは、ボールと一緒に移動することです。ボールを運ぶことですね。
ミニゲームならば、相手ゴールに向かってドリブルで向かっていくことで、味方へのパスをしなくても相手ゴールにシュートすることが出来ます。
ふたつめは、奪いに来る相手、行く手を阻もうとする相手を「抜く」ことです。
向かってくる相手がジャマなので、ドリブルのコースを変えることで簡単に抜けます。フェイントで相手の逆を突くなんてことは、ドリブルの角度を変えることが出来るようになってからすることです。
このような2つのドリブルを行うことで、何が身につくのか。
- バランス能力が身につく
- 走る能力が高まる
- 俊敏性が高まる
- ボール扱いが上手くなる
- 相手を見る力がつく
- 闘争心が高まる
たくさんありますねー。コーチが手取り足取りでインサイドキックを教える時間が30分あるなら、1対1でのドリブル対決をやった方がよほど楽しく効果があると思うのですが・・・
ボールをタッチする瞬間は片足になるので、バランス能力が高まりますし、抜いた相手に追いつかれないように、スピードアップすることも必要です。
相手との間合い、相手との接触など、サッカーに必要なトレーニングが詰め込まれている技術です。
そして、特に身につけて欲しいものがあります。
- 闘争心が高まる
これだけ赤文字ですが、その理由は「対人プレー」を育てるモトになるからです。
サッカーの基本とは「負けず嫌い」だ
サッカーは「闘争するゲーム」です。狩猟民族のゲームです。ボールをめぐってカラダとカラダをぶつけ合いながら、時には痛い思いをしつつも相手ゴールにボールを突っ込むというゲームです。
小学1年生には、この闘争心を身に着けて欲しいのです。闘争心というと漢字だらけですが、言い直せば
「負けず嫌いになる!」
まだ漢字が多いですね(笑)。
サッカーを始めるということは、相手からボールを奪う、奪ったボールを守るということをスポーツとしてずっと続けることになります。
ボール扱いがいくら上手でも、相手ボールを奪えないとか、ボールを簡単に奪われてしまう、奪われても奪い返そうとしないのでは、試合で使ってもらえないばかりでなく、味方からダメ出しを食ってしまいます。
ボール扱いが今ひとつでも闘争心のある選手は味方からの信頼が厚くなるもの。これがサッカーの本質です。
ドリブルをやっていればパス練習はしなくてもいいのか?という疑問については別の記事で書きますね。
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